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NaraExplorerは、奈良で唯一の英語観光情報誌です(2008年6月創刊)。

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奈良の花街

元林院の歴史と伝統、舞妓・菊稚さんへインタビュー

new shop色鮮やかな着物や帯、美しくまとめ上げられた日本髪を飾る髪飾り、赤い唇が映える白い肌…。これらの言葉を聞いて「芸者」を思い浮かべる人も多いでしょう。しかし奈良では「芸者」とは呼びません。「舞妓」や「芸妓」と呼ばれます。Nara Explorerが、普段はめったに触れることの少ない、奈良の花街・元林院を紹介します。舞妓・芸妓の伝統を今に継承する、特別な世界をお楽しみください。
花街:日本のおもてなしと技芸が継承される場所
new shop「花街」とは、芸妓や舞妓が暮らし、仕事をする地域のことを言います。舞妓さんが生活やお稽古などをする置屋、彼女たちがお客をもてなし、芸を披露する料亭や旅館など、芸妓・舞妓の毎日に欠かせない重要な場所が集まるエリアです。
今日、「芸者」という言葉が世界中で知られるようになりましたが、奈良でへ「芸者」という言葉は使われません。「舞妓」「芸妓」と呼ばれます。日本舞踊、三味線などの楽器、茶道、華道、書道などの日本の伝統文化に精通し、お客をもてなす、言わば芸事のプロが芸妓、そして芸妓の見習段階であるのが舞妓です。必然的に、舞妓は芸妓よりも若いということになります。
芸妓と舞妓には様々な違いがあります。まず、外見が違います。舞妓の帯はとても長く、髪は地毛で結います。芸妓はカツラをつけます。寝るときやお座敷がないときも、髪を下ろさないままでいます。寝るときには、髪型を崩さないように、高さのある特別な木の枕を使って寝ます。また、舞妓は「おこぼ」と呼ばれる高さ15センチほどもある木の履物を履きます。
華やかに見える花街ですが、途方もない忍耐と熱意がなければ舞妓や芸妓としては務まりません。舞妓として店だしする前には、芸事やお客との会話など、さまざまなことを身につけなければいけません。この過程で、舞妓になる夢をあきらめてしまう少女もいます。それでも、厳しさが和らぐことはありません。厳しいしきたりや伝統への経緯が、花街という特別な世界を今日まで継承しているものにほかならないからです。
奈良唯一の花街、元林院の今昔
new shop猿沢池から南西へ数分歩くと、細い路地が入り組んだ、奈良の歴史的な情緒を一層感じられるエリアがあります。それだと知らなければ、そこが奈良の花街、元林院という地域であることに気がつかない観光客もいることでしょう。元林院は、奈良で唯一、花街の伝統を今に受け継ぐ場所です。
元林院が花街として成立したのは明治時代の初期のこと。その後、大正、昭和初期には、奈良よりもずっと規模の大きな都市である京都や大阪の花街に匹敵するほどのにぎわいを見せていました。芸妓が200人以上もいたという当時、毎晩が宴会の喧噪に包まれていました。
第2次世界大戦後、日本の社会構造は劇的な変化を迎えます。1940年代になると、舞妓や芸妓になりたいという少女の数も減り、また、元林院での贅沢なお座敷遊びに興じられるだけの財力を持った人々の数も減って行きました。それ以降、元林院のにぎわいは影をひそめるようになっていきます。
現在、毎日たくさんの観光客が奈良を訪れているものの、奈良に今も花街があることを知らない人も多いです。しかし、元林院には昔から変わらない静かな空気が流れています。活躍している芸妓、舞妓の数は減ってしまいましたが(合わせて12名ほど)、彼女たちには元林院の伝統を今に伝えるという強い責任感と誇りがあります。
元林院唯一の舞妓、菊稚さんにインタビュー
菊稚さんは、現在舞妓として元林院で活躍するただ一人の舞妓です。両親が伝統芸能の世界に通じていたことから、4歳から日本舞踊を習い始めました。そして16歳のとき、菊稚さんの人生が変わります。元林院の世界と出会い、奈良で舞妓になることを決意したのです。
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Nara Explorer (NE):なぜ奈良で舞妓になろうと思ったのですか?
菊稚: 私の母が、鼓の教室に通っていたのですが、そのときに同じところで菊乃さん(元林院の芸妓)も鼓を習っておられました。菊乃さんから元林院のことを聞いていた母が、ある日、私に奈良の舞妓のことを話してくれたんです。当時、元林院というところがどんなところかということもほとんど知らなかったのですが、とても魅力的な世界に感じました。舞妓になれば、私が幼いころから習っている大好きな踊りを毎日踊れるということがとても嬉しかったことを覚えています。舞妓になろうと決めた時から、元林院について勉強し始めました。知れば知るほど、他にはない独特の伝統的な世界に惹かれていくばかりでした。
NE: お座敷のあるある1日の過ごし方を教えてください。
菊稚: たいていの場合、午前中にお稽古があります(踊り、三味線、書道など)。それから、お昼ごはんをたくさん食べます。その次に食事ができるのは、時には深夜になることもあるからです。そして、お座敷のために身支度を整えるのには時間がかかります。髪を結ってもらうのにはだいたい1時間半ぐらい、自分でお化粧をして、着物を着せてもらいます。お昼にお座敷があることもありますが、たいていは夜のことが多いです。
NE:奈良でのお気に入りの場所を教えてください。
菊稚:東大寺の蛍を見るのが大好きです。それに、朝と夜の奈良の雰囲気の違いを感じるのも好きです。季節の移ろいに気づいたり、静けさを楽しんだり、自分だけの空間を感じられるこころがゆったりする時間を感じられます。
NE: 舞妓、芸妓として目標にしていることは何ですか?
菊稚:今も毎日勉強することばかりです。踊りもほかのお稽古も、もっともっとうまくなりたいし、新しいことにも挑戦したいです。外国の方の前で踊ることも多いので、英語にも挑戦してみたいと思っています。出かける先々で、舞妓だと人に気づかれます。舞妓としての仕事は大好きですし、誇りも感じます。そして、元林院の唯一の舞妓だということに強い責任感もあります。私を応援してくれるたくさんの方の期待にこたえられるよう、芸妓のお姉さん方や地域の方々からこれからもたくさんのことを学んでいきたいです。
菊水楼で、舞妓とともに贅を尽したひとときを
new shop創業100年以上を誇る奈良随一の旅館、菊水楼。重厚な日本建築は目にも美しく、国内外から数々の要人も宿泊に訪れます。菊水楼では、舞妓を呼んでお座敷を手配することができます(2時間:35,000円、舞妓が踊りや三味線などを披露)。日常とは別世界のひとときを、菊水楼でお過ごしください。
舞妓のお座敷だけでなく、別館菊水楼(和食)やレストラン菊水(洋食)での食事も楽しめます(洋食コース:3,500円、5,000円;和のコース:5,000円、7,000円、10,000円;予約がおすすめ)。特に別館菊水楼の会席料理は、奈良での特別なひとときを演出してくれるでしょう。奈良の歴史を受け継いできた菊水楼で、最高の贅沢とおもてなしを体験してください。そのほか、dinningの菊水楼の広告もご覧ください。
元林院おすすめスポット
花街について紹介してきました。奈良時代の魅力を実際に感じられるスポットに足を運んでみませんか?花街・元林院を満喫できるスポットを紹介します。
Daibutsu Great Buddha1)阿慈味
阿慈味を切り盛りするのは、芸妓のひな菊さんです。15歳で芸妓になるために奈良に出て来てから45年、ずっと元林院で活躍されています。カウンター席のみのこぢんまりした店内は、ひな菊さんの親しみやすく、お客をあたたかく迎えてくれる人柄にあふれています。
英語は流暢でなくとも、芸妓として海外からのお客をもてなした数々の経験から、外国人のお客もよく阿慈味を訪れます。芸妓さんのサインや写真などがたくさん飾られ、まるで元林院のミュージアムのようなお店です。
Open: 17:30 -24:00、月曜定休、Tel: 0742-27-7644.
Tegai-mon Gate2) まんぎょく
まんぎょくの前身は、元林院がもっともにぎわっていたころには、20人を超える芸妓さんが暮らしていた萬玉楼という置屋でした。1742年から残る建物は、この地域ではもっとも古い建築でもあります。置屋としての営業を止めたあと、レストラン、まんぎょくとして新たにオープンしたのが26年前のことです。元林院で生まれ育ったという、元林院の昔や芸妓さんのことなどなんでもご存知のオーナーがいらっしゃいます。
まんぎょくでは、お手頃な価格でおいしい食事が楽しめます。昔、実際に芸妓さんたちが暮らし、使っていた部屋や家具に囲まれながらの食事は、まるでタイムスリップしたかのような気持ちになれるでしょう。英語メニューあり。
Open: 18:00-23:00、月曜定休。Tel: 0742-22-2265.
Heijo Palace Site Museum3)元林院写真ギャラリー
奈良の古い建築が大好きという建築家の山下さん。2005年にこの地域に事務所を構えた際、スペースの半分を地元から集まった元林院の古い写真(デジタル版)を展示するギャラリーとして使うことにしました。ギャラリーをオープンして以来、地元の人々から昔の写真がさらに集まり始めたそうです。
現在、1,000枚を超える写真が寄せられています。それらすべてが、元林院の歴史や文化を伝える貴重な資料です。明治時代から昭和初期までの元林院の様子を知ることのできる唯一のギャラリーです。
Open: 13:00-17:00、日曜・ほか不定期休館。Tel: 0742-24-3600.

古都 奈良で天平文化を体感

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